「朝起きなさい!いつまで寝てるの!」
そんな声がけを毎日のように繰り返していませんか?
ですが、それでも朝なかなか起きられず、体がだるく、頭痛やめまいを訴える子どもを見て、「本当に怠けているだけなのかな…」と悩んでいる親御さんも多いのではないでしょうか。
もしかするとそれは、“怠け”ではなく「起立性調節障害(OD)」という自律神経の不調が原因かもしれません。
このブログでは、起立性調節障害の主な症状・原因・診断方法・改善策まで、専門的な視点からわかりやすく解説します。
【起立性調節障害とは?】
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation:OD)は、自律神経の働きが乱れることで、血圧や脈拍の調節がうまくいかなくなり、体調に様々な不調が現れる病気です。
特に、朝起きることがつらくなる、立ち上がるとめまいや動悸がする、慢性的な倦怠感があるなどの症状が特徴です。
思春期の子どもに多く、特に10歳〜16歳の間に発症しやすいとされています。
【主な症状】
朝なかなか起きられない
頭痛や腹痛
めまい、立ちくらみ
動悸や息切れ
倦怠感(常にだるい)
午後になると元気になる
集中力の低下
学校に行けない
これらは、本人の意志や努力ではどうにもならない、身体の機能的な問題です。
怠けているわけではありません!
【なぜ起きられないの?原因を解説】
ODの大きな原因は、自律神経のバランスが乱れることにあります。
自律神経には、活動モードの「交感神経」とリラックスモードの「副交感神経」があり、この2つがうまく切り替わることで、私たちは朝スッキリ目覚めたり、夜眠くなったりしています。
ODの子どもは、この切り替えがうまくいかず、朝になっても交感神経が働かないため、体が「起きる準備」ができない状態なのです。
その他の要因としては:
思春期のホルモン変化
ストレスやプレッシャー
夜型の生活習慣
運動不足
遺伝的な要因
などが挙げられます。
【診断と治療は?】
もしODが疑われる場合は、小児科などで相談しましょう。
主な診断法は「新起立試験」と呼ばれる検査で、横になった状態と起き上がった状態での血圧・脈拍の変化を見ます。
治療は大きく分けて以下の4つ:
生活指導(生活リズムの改善、朝起きたら日光を浴びる)
食事指導(タンパク質・鉄分・塩分・水分をしっかりとる)
運動療法(軽い運動を習慣にする)
薬物療法(重症の場合、血圧を上げる薬などを使用)
ただし、薬はあくまで補助的なものであり、基本は生活習慣の見直しが重要です。
【家庭でできる対策】
ODは本人だけでなく、家族の理解と支えが非常に大切です。
1. 朝の声かけは「励まし型」で
「また寝てるの?」ではなく、「ゆっくりでいいよ」「今日も一緒に頑張ろうね」など、プレッシャーを与えない言葉がけを。
2. 夜のスマホは控えめに
寝る直前までスマホを見ると、交感神経が刺激されて眠りの質が下がります。できれば就寝1時間前にはスマホをオフに。
3. 水分と塩分をしっかりとる
朝コップ1杯の水+塩分を含む味噌汁などは、血圧の安定に有効です。
4. 午前中は無理せず、午後からエンジンをかける
「午前中はベッドで過ごしてもOK」など、無理のないスケジュールを組むことも大切。
5. 学校と連携する
ODの理解がある先生やスクールカウンセラーと情報を共有し、通学の調整や配慮をしてもらいましょう。
【まとめ】
起立性調節障害は、「怠けている」「甘えている」と誤解されやすいですが、れっきとした身体の病気です。
家族や学校が理解し、適切に対応すれば、少しずつ改善していくことができます。
大切なのは、「治そうと頑張らせる」のではなく、「本人の状態に寄り添いながら、生活を整える」こと。
焦らず、ゆっくりと、回復への一歩を踏み出しましょう。
【補足:もっと詳しい情報が必要な方へ】
当院では、病院に通院しても改善されない起立性調節障害や自律神経の乱れで悩む中学生・高校生が沢山来店されています。
「子どもが毎朝つらそうで不安」「家で何をすればいいかわからない」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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